子供への英検指導 ~英検Jr.から英検3級まで~

子供への英検指導の方法

英検
英検Jr.とは

英語のレッスンを受けている生徒様の保護者の方には、お子様のレッスンに対して、様々な思いやご要望があると思われます。

レッスンスタート直後は、毎回の進歩に目を細め、楽しんで英語が好きになってくれればと願う保護者の方がほとんどでしょう。

でも、やがて、せっかく英語のレッスンを受けているのだから、成長の様子を確認できれば…というお気持ちが出てくるのではないでしょうか。


そこで、英検Jr.や英検が登場するのですが、英検Jr.に関しては「テスト」という感覚で捉えて頂くと少しニュアンスが違います。

英検Jr.の最大の特徴は、合否ではなく正答率に着目していることです。

「受かった・落ちた」

ではなく

「できた!」

という実感を体験できるので、お子様は次のステップに向けてモチベーションが高まる試験であると言えるでしょう。

また、オンラインでの受験も可能なため、手軽に受験できることもメリットです。

個人差はありますが、マンツーマンレッスンの場合、おおむね4歳以上の初心者の方でしたら、レッスン開始一年~一年半後にはブロンズの受験が可能です。

合否を気にせずにチャレンジできるので、同じグレードでもステップアップしていく過程が確認でき、次の目標に向かっておおよその目安が講師・保護者の方にも判断しやすい試験です。


英検Jr.の各グレードの差と対策指導について

英検Jr.にはブロンズ・シルバー・ゴールドの3つのグレードがあります。

それぞれのグレードの内容に関しては日本英語検定協会のホームページで確認できます。

各グレードを指導した経験、及び受験した生徒の感想・結果などから考慮すると、各グレードの難易度の差について、講師の方にも指導前に確認しておいて頂きたいというのが実感です。

基本としては、ブロンズ→シルバー→ゴールドと普通は順番に受験する生徒がほとんどです。


ブロンズ受験

 ↓

ブロンズが80%以上の到達率

 ↓

シルバー受験

 ↓

シルバーが80%以上の到達率

 ↓

ゴールド受験    

上記が、一般的な受験の目安とされています。 

ここで気をつけて頂きたいのですが、順番に受験された方のほとんどが、

「ブロンズ→シルバー」 と 「シルバー→ゴールド」

とで、 その差を実感するということです。


言い換えると、ブロンズからシルバーは難なく進んだのに、なかなかゴールドで80%の到達率に達しないという現象が起こります。

個人的な感想ですが、ブロンズでは95%以上の到達率、そしてシルバーでも最低で90%以上の到達率がないと、ゴールドの80%は非常に困難な生徒様が多いように思います。

ですので、半年ごとに上位のグレードを受けるようなスピードではなく、最初が80%の到達率でしたら

「再度同じグレードで到達率のアップを目標にする」

「到達率が95%以上になったら上位のグレードに進む」

など、ゆっくりとしたペースでの受験をお勧め頂くと良いのではないかと思います。


ブロンズ、シルバーとゴールドの最大の違いは、リスニングの文の長さです。

ゴールドの長文の設問は5文以上で、その内容を聞き取って設問に答えるリスニングレベルが求められます。

フォニックスはかなりの理解度があり、簡単なリーディングはできるものの、長文のリスニング練習量が足りない生徒様(シルバーの到達度が高い場合)は、ゴールドよりむしろ英検5級を先に受験することをお勧めするケースがあっても良いかもしれません。


英検Jr.ゴールドと英検5級の比較

英検Jr.ゴールドと、英検5級の指導ポイントについてお話し致します。

●英検Jr.ゴールド

基本的にリスニング重視の指導です。

まとまった会話(3往復以上)の聞き取りが求められるので、簡単な会話文の応答だけではなく短いストーリーの読み聞かせを行い、内容を確認・質問する練習が効果的です。

多くの音声教材や読み聞かせでリスニングには自信がある方には、是非挑戦して頂きたいと思います。

●英検5級

リスニングは簡単な会話や単文がほとんどですが、基本的に中一レベルのリーディング能力は必要です。

フォニックスの基本ルールについては早めに導入しておきましょう。

また、両受験共通で5W1Hの疑問文に対する応答を練習しておくことが重要です。

質問の解答に結びつくキーワードを見つけることがリスニング・リーディングとも正解への道となるので、ぜひポイントをご指導ください。

なお、英検Jr.のブロンズやシルバーの受験準備段階から、各々の範囲に関わらず、語彙力を増やし、フォニックスのルールの理解を進めて、簡単な文のreading能力を身につけておければ、その後の学習がスムーズです。


幼児(未就学児)の英検5級受験について


英会話教室に通っているお子様でしたら、5級の合格は幼児さんでも目指すことが不可能ではありません。

耳がいい幼少期にたくさん英語を聞くことで耳が鍛えられ、リスニング問題で高得点を獲得することができるからです。

"How is the weather?"
"What time is it?"
"Do you like cats?"

などは、レッスンでよく講師が生徒さんに聞く質問かもしれません。

そして、これは5級のリスニング問題でもよく出てくる質問でもあります!

リスニングテストや筆記テストで出てくる質問をレッスン内でいっぱいしてあげると、それが英検対策になるのです。

文字も、ある程度読めないといけないですよね。

フォニックスを導入するのも良いですし、幼稚園、小学校低学年の生徒さんにはその年齢の特性を活かして『形』で覚えてもらうといいかもしれません。

例えば…今回は「何?」シリーズと決めたら、<what>の文字カードを見せながら、たくさん "What・・・?" ではじまる質問をしてみる…。

動物シリーズ、お天気シリーズ、食べ物シリーズなどなど。 

音でインプットしたものを、今度は視覚的にインプットしていって、文字カードがある程度増えたら、ビンゴやカルタをしたり、文字カードに対応する絵カードと一緒に神経衰弱などゲームをしながら、楽しく学んでいけたらいいですね!


幼児の英検受験では、受験日の模擬練習も大切!


英検受験まであと数週間となると、実践問題にも取り組んでください。

もっとも、はじめから、問題集をば~んと目の前に出されたら、とまどってしまう生徒さんもいるかもしれません。

最初は講師が(ちょっと手間をかけて)、大きめのフォントでほんの数問をパソコンで作成したものや、拡大コピ-したものを見せるのも良いアイディアです。

最後に…、マ-クシ-トの練習も忘れずに! 

解答用紙つきの問題集も市販されていますし、英検の公式ホ-ムペ-ジからもダウンロ-ドできます。

生徒さんのご家庭で住所を書く練習をしていただくことも必要です。

幼児の英検受験については、日本英語検定協会から特設案内ページも作成されています!

リンクは 英検 for Kids! ←こちらです!

英検2
英検4級の対策指導について

小学生の生徒さんで、5級は1度の受験で合格したけれども4級はなかなか合格できない、というケースがよくあります。

それぐらい、4級と5級の間には大きな壁があるのです!

単語が増えるのはもちろん、5級は時制が現在形、現在進行形だけだったのに、4級になると未来形、過去形が出てきます。

比較級も助動詞も出てきます。

また、読解問題もあります。

何となく5級に受かっちゃった生徒さんには、越えなくてはいけない壁がたくさんありますね。

小学生に文法指導をするのには教室や講師によって賛否両論のようです。

子どもの感性を大切にしたい教室、文法指導を取り入れて体系的にレッスンをする教室など様々です。

もちろん一番良いのは生徒様の個性にあわせたレッスンをすることではありますが…。

もし、好奇心旺盛な生徒様(年齢にもよりますが)でしたら、文法事項も積極的に指導されてもよいかもしれません。

そしてレッスンでは、実践問題を解く前に、リーディング教材を使った学習をお薦めします。

生徒さんの英文を聴いたり話したりする感性を鍛えるのには最適です!

カードフラッシュによる導入とともに、英文をたくさん読むことにより単語を自然に覚えていくでしょう。

輸入教材などに、よい教材がいくつかありますので、探してみてくださいね。

幼児・小学生への英語指導には、とにかく音声をたくさん聞かせることが有効ですので、教材は、CDがついているものがお薦めです。


英検4級以上では、家庭学習も大切。

英検4級以上の受験の場合には、家庭学習も大切になります。

多くの英語教室は年間に40~45コマのレッスンを組んでいると思われますが、これって、レッスンだけだと、1年365日のうちに40時間くらいしか英語に触れていないことになります。

ですので、もし、小学生の生徒さんが英検の受験を希望されましたら、家庭での学習時間の確保をして頂くことも、大事な指導ポイントになります。

まずはお家の方に宿題の管理をしていただくなど、協力をお願いしましょう!

Reading教材の音読などは、とても良い宿題のトピックになるかと思います。



英検3級の一次試験対策の指導

英検3級ともなると、もはや英文法を避けては通れません。

むしろ、正面から取り組んでいく必要が出てきます。

英検の対策指導を始めると、陥りやすい問題が、

「以前はレッスンを楽しんでいたのに、英検対策が始まってから急に文法事項が増え、覚えることが多いなどのご不満が出てきた」

というものです。


最悪のケースでは、子供が「英語は難しい、つまらない」言って、レッスンを辞めてしまうことにもなりかねません。

楽しみつつ、英文法や英語の語彙力を上げたかったら、まずは普段のレッスンから Picture Dictionary の使用をお勧めします。

ご自身が使いやすいものが一番ですが、新たにお求めになるのでしたら、動詞・形容詞(反対語を同時に学ぶことができる仕様ならベスト)ができるだけ豊富で、個別に表記してあるものを選んで頂きたいと思います。

名詞は絵で表しやすく、小さいものでしたら実物での用意も可能ですが、動詞・形容詞は抽象的で、名詞に比べると圧倒的にPCカードも少ないのが実情です。

やはり、将来英検受験を視野に入れるならば、swim, run, sleep, dance など数少ない動詞だけではなく、50種類以上の動きが絵で表されていると大変重宝します。

私は個人的に絵を描くことが非常に苦手なので、これらの動詞を拡大コピーして切り取り、ラミネートのケースに入れて各種ゲームに使っています。

幼稚園児でも毎回時間を決めてスピーキング練習に取り入れて行くならば、名詞のみの発話ではなく、3~5語での文章の発話も可能です。

「うちの子は単語だけで、なかなか文章で話さない」

とおっしゃる保護者は多いのですが、知っている動詞の数を増やすことによって改善できるケースはかなり多いのです。


子供への形容詞や副詞の指導


子供に形容詞や副詞を指導する際には、まずは反対語とワンセットで覚えさせるのが効果的です。

動詞の場合も come ⇔ go など反対語で覚えられるケースも多いのですが、形容詞や副詞の場合は反対語とのセットで教えると、もっと効果が顕著に現われます。

ここでも、Picture Dictionaryを使用していると、視覚的にも比較的簡単に覚えることができますね。

必ずしも全て覚えておく必要はありません。

次に出てきた時に、「何か見たことがあるなあ」レベルでもいいのです。

初期の段階で語彙を増やしておいたほうが、生徒にとってはその単語に触れる機会が増えることになります。

また、講師にとってもゲームをしたり復習の確認をするためには既習事項の多い方が様々なパターンでレッスンができ、双方に取ってプラスとなります。


よく「幼児に一度にたくさん教えても理解できないのでは?」と思われる方がいらっしゃるのですが、実際に教えてみるとそんなことはありません。

講師或いは保護者が、完璧に覚えてくれることを期待すると結果重視となり、生徒にとっては英語が楽しいものとはなりません。

繰り返しを好む幼児の特質を利用?するならば、形容詞に限りませんが、少しずつ完璧に教えるよりその単語に触れる回数をできるだけ多く与え、一回の時間を短くした方が確実に生徒は吸収してくれます。

定着までに回数をこなすことが重要です。

次に具体的な導入方法についての例です。

  1. カードを見せ、”Say a word.”→ “Say the opposite.”
    2、3組ではすぐ終了してしまいますので、最低5組以上導入してから行って下さい。
    数が増える度に行うと復習になります。

  2. 反対語のカードをワンセットにして、神経衰弱もできます。
    この時、たまたま意図せずに反対語を取れた場合も本人が認識していなければ取れないことにします。

  3. “Which words mean the same?”
    difficult, expensive, large, loud, small, big, hard, noisy, little, easy など
    同じあるいは似た意味の単語を制限時間内で組み合わせたり、ライティングの進んでいる生徒なら、書かせてみても良いかもしれません。

  4. “Which words describe each picture?”
    こちらはPCカードと単語カードを使います。
    cold, long, fat, sharp, light などの単語カードと snake, pig, ice cream, feather, scissors など、それぞれの形容詞を表わすPCカードを用意して、上記2、3、4を応用したゲームを取り入れることもできます。


レッスンの度に、動詞に5分、形容詞・副詞に5分、前置詞に5分、文章のパターンプラクティスに5分などを、メインレッスンに加えていくと、生徒からの発話も少しずつ文章で会話できることが増えてくると思います。

ぜひ試してみてください。


英検3級の二次対策指導について


英検3級以上を受験された生徒さんが、めでたく一次に合格したあとには二次の面接テストが待っています。

市販されている面接対応の問題集をみると、それはそれはりっぱな解答例が載っています。

「こんな風に答えないと合格しないの~?」 

・・・と、ちょっと恐れおののいてしまうかもしれません。

でも、解答例はあくまでも例で、どこから見ても完璧なものになっています。

ですから、このように答えないと決して合格できないというわけではありませんので、生徒にも言い聞かせて安心させてくださいね!

面接までに生徒さんにマスターしていただきたいのは、ずばり <because> の使い方です。

イラストカードを見ての状況説明の問題では、以下のように答える練習をさせます。

 He/She wants to ~, because ~.

 He/She can’t ~, because ~.

イラストカードを伏せてからの、質問には、こうです。

 It’s fun (useful, convenient, boaring, ・・・), because ~.

 I like ~, because it’s fun (interesting, beautiful,・・・).

上記のように、パターンを覚えていくと、役に立ちます。

また、上記にもあるような fun, interesting, useful, beautiful, dangerous などの形容詞も復習しておくとよいと思います。

面接では、受験態度 <attitude> も評価されます! 

ですから、

「聞きとれなかったら、"Could you say that again?"」

「わからなかったら "I don’t know."」

など、とにかくお話ししておいでね~!と生徒さんに伝えてみてください。

面接のはじめには

"What time did you get up?"

"What grade are you in?"

"How did you come here?"

などのアイスブレーカーと呼ぶ緊張をほぐすための、簡単な質問をすることもあります。

レッスンのたびに先生は生徒さんにいろいろな質問をして慣らしてあげましょう! この際、過去形での答え方も要チェックです!

 


以上、ずいぶん長文になってしまいましたが、英検を幼児・小学生さんに指導する際のちょっとしたコツなどをご紹介しました。

あくまでも個人的な感想や体験談に基づくものですので、あくまでも参考程度に、ご自身の指導するお子さんが生き生きと楽しく試験にも取り組んでもらえたら嬉しいです。




・英検は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。
・このコンテンツは、公益財団法人 日本英語検定協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。